#youth|21世紀を生きるウチらが伝説のJK・コギャルから学ぶこと
1990年代後半、JK(女子高校生)を中心に社会が回っていた時代があったらしい。21世紀に誕生した私には想像もつかない話だが、彼女たちは「コギャル」と呼ばれ、社会のトレンドをつくり出していた。
#コギャル #『egg』 #なりたい姿
culture
2021/07/23
執筆者 |
希麗
(きら)

20歳、大学3年生。滋賀県出身の台湾好きなフェミニスト。

1990年代後半、JK(女子高校生)を中心に社会が回っていた時代があったらしい。21世紀に誕生した私には想像もつかない話だが、彼女たちは「コギャル」と呼ばれ、社会のトレンドをつくり出していた。ジェンダー平等や、女性の社会進出などが謳われる現代よりも20年以上前のことである。彼女たちはどのような文化をつくり出し、どのような社会で生きてきたのだろうか。

ルーズソックス、アムラー、日サロ……

コギャルを象徴する一番の要素はやはりルックスだろう。女子中高生であった彼女たちは、ユニフォームである制服を着崩し、彼女たちにとっての「かわいい」を追求していた。ラルフローレンの大きめのベストやカーディガン、短いスカートと、もちろんルーズソックスはマストアイテム。私がJK時代を過ごした2010年代とは大きく異なる制服スタイルだ。

東宝MOVIEチャンネル|「SUNNY 強い気持ち・強い愛」全曲メドレーPV|SCREEN SHOT

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メッシュ入りの明るい茶髪に肌は小麦色。ガングロベースに施されるメイクは細めの眉に、白っぽいアイシャドウ。口紅はヌーディーな色味が多く、どの参考資料に写る女の子たちを見ても、実年齢より大人っぽく見える。

制服を脱ぎ、彼女たちが休日に身をまとったファッションは「アムラーファッション」だった。タイトなトップスにミニスカート、足元は厚底ブーツ……。当時のコギャルたちの憧れであった歌姫、安室奈美恵のファッションを真似たスタイルである。

彼女たちの理想を追い求める努力と熱量

先ほど紹介したファッションやルックスに、彼女たちはとてつもない熱量を注いでいた。当時JKとして過ごした人たちの話を聞くと、そのファッションへの追求はとても興味深い。マストアイテムのルーズソックスは、個人個人にこだわりの長さやくしゅくしゅ具合、重量感があったらしい。生地や長さによってシルエットが変わるため、彼女たちは研究を重ね、自分たちのベスト・ルーズ・シルエットを編み出していたのだ。彼女たちの願いを叶えるためスーパーロングと呼ばれる長さのものも登場したほどだ。このずっしりとしたルーズソックスのずれを防ぐために登場したソックタッチ(靴下がずり落ちないように肌と靴下を留めるスティックのりのようなもの)は彼女たちのマストアイテムで、イケてるJKの脚づくりには欠かせないものだった。ちなみにカスタマイズされたルーズソックスは洗濯後、なかなか乾きづらかったらしく、同じものを2、3日履くことも多かったという。彼女たちにとってルーズソックスのこだわりは清潔さ以上に重要だった。

アムラーのマストアイテムである厚底ブーツもルーズソックスも彼女たちのナマ足をよりきれいに見せるためのものでもあった。『SPA!』('96年8/14・21号)では、「ナマ足女に美脚はいない」という特集記事が組まれたほどである。

現代においては、ジョンソン・エンド・ジョンソンの“美白”化粧品の販売が人種差別的観点から禁止されるなど「肌の色」や広告表現に対してさまざまな議論がなされている。80年代後半に紫外線の肌に対する有害性がわかったことを受けて、90年代から各化粧品会社が日焼け止めなど“肌を焼かない”製品開発に力を注いだ。一方で、コギャルたちは日サロに通い、小麦色の肌を手に入れようとしていたのだ。紫外線の肌に対する有害性がわかってもなお彼女たちは理想の肌の色を追い求めたのである。

コギャルではない女性たちが白い肌を求める風潮のなかで、コギャルたちは日サロに通ったり、夏でも暑さより脚長・美脚効果を優先するなど、彼女たちの理想への追求心は、社会現象となり新たなトレンドや文化をつくり出した。

JKたちの情報源と「好きなもの」「なりたい姿」

フリュー株式会社が運営する女子高生・女子大生の動向調査・研究機関『GIRLS’TREND研究所』が2018年10月に行った、「『平成の女子高生(JK)に関する世代別トレンド』調査〜ライフスタイル編〜」という調査がある。このなかにある「流行っていることなどの情報はどこで知る?」という質問に対しての回答結果から、コギャルの情報源と平成30年JKの情報源を比較していく。調査結果は以下の通りである。

「『平成の女子高生(JK)に関する世代別トレンド』調査〜ライフスタイル編〜」

この調査からわかるように時代とスマートフォンの普及によって情報を入手する場所は大きく変化してきている。コギャル世代のJKたちは友だちとの会話・雑誌・テレビで最新の情報を入手していたが、平成30年のJKは友だちとの会話・雑誌・テレビに加えてインスタ・ツイッターなどのSNSが主流であった。2021年のJKたちは、平成30年JKのデータに加えてTikTokが登場するだろう。

このデータからJKたちの「好きなもの」「なりたい姿」について考えていく。平成元年JK=コギャルたちの情報源は友だちとの会話・雑誌・テレビである。コギャル同士の会話と、JKカルチャーをフューチャーするeggなどのファッション雑誌や週刊誌、テレビに囲まれたなかでは「多様さ」を知ることは少ないだろう。

一方で、平成30年JKがSNSから得られるさまざまな情報のなかには、学校など限られたコミュニティのなかだけでは知ることができない情報が盛りだくさんである。彼女たちは、SNSを通じて、多様な文化や価値観を知ることができる。さらには、自ら「好きなもの」を発信したり、リアルタイムで共通の「好きなもの」を持つ者同士でコミュニティを築くことも可能だ。また、インフルエンサーやアイドル、YouTuberなどひとりひとりが「なりたい姿」をSNSで見つけ、追い求める。

コギャルたちの「好きなもの」「なりたい姿」は同じだった。もちろん、それぞれに同じではないこだわりがあり、自分の理想を追い求めていた。しかし、皆同じ「コギャル」という枠組みのなかで理想を追求していたように思う。同じ枠組みのなかで、「好きなもの」「なりたい姿」を共有し、追求することで彼女たちは新たなトレンドやカルチャーを創り出した。

一方で、現代のJKは「好きなもの」「なりたい姿」が違って当たり前なのだ。もちろん流行は存在しているし、最先端を走る存在であることは両者同じだろう。しかし、決定的に異なる点は、それぞれに違った「好きなもの」「なりたい姿」があるという点だ。現代の若者たちが「コギャル」のように固有名詞をつけられ、一括りにされなくなった背景には一括りにできないほどの多様化があるように思う。

今も昔も最高! 先輩から学んでアップデート!

「昔は良かった」などと自分たちが若かった時代を美化し、「今」を蔑む大人はいつに時代にも存在している。大抵の若者はそれを嫌うし、私もそのひとりだ。ここで私が伝えたいことは、「昔が良かった」「今のほうが良い」ではなく「違いのなかには必ず、それ自体の良さがある」ということだ。私は「多様であること」が当たり前になるべきだと強く願っているし、多様性なんて言葉を使わなくていい社会が“普通”になるべきだと思っている。一方で、私は90年代後半の中心にいたJKたちが大好きなのだ。それは、彼女たちが持っていたエネルギーやパワーにとてつもなく魅力を感じているからなのかもしれない。彼女たちが持っていた、皆が同じ方向に向かっていく、いわば「団結力」のようなものは私たちの世代には少ない。

コギャルとして生きていくことが、彼女たちが“イケてる世界”で生き抜くための生存戦略であったように、個々人が「自分の世界」を創り出し、それを守ることが、私たちZ世代の生存戦略のスタンダードになっている。「個性と世間体の両方を重んじるのがZ世代」というマーケティング分析は、当事者から見ても外れてはいない。しかし、多様性という言葉を使わなくて良いほどに多様な社会を実現するためには、もう私たちの守りの生存戦略では追いつかない。自分の身を守るだけの戦略では、何かを変える気などさらさらない凝り固まった「彼ら」には効かないのではないか。少しくらい傍若無人に、コギャル並みのパワーと団結力を持たない限り、この社会は変えられないのだ。もう自分たちの殻に閉じこもっている暇なんてない。

コギャルがカルチャーを創り出したように、私たちも未来を切り開け!

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2021/07/23
執筆者 |
希麗
(きら)

20歳、大学3年生。滋賀県出身の台湾好きなフェミニスト。

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