#youth|古びないタカラヅカ・フォーエバー
キラキラとした華やかなレビューで有名な宝塚歌劇団、「一度観てみたいと思っているけれど、なんとなく敷居が高い」と思っている方も多いのではないだろうか?
#宝塚歌劇団 #タカラヅカ #ファンダム
culture
2021/08/16
執筆者 |
早希
(さき)

20歳。自由を愛する、生粋の大阪人。甘いものが嫌いで、辛いものが好き。自他ともに認めるAB型。

私は、今年でヅカファン歴7年目を迎え、毎公演1回は観劇する女子大学生である。

キラキラとした華やかなレビューで有名な宝塚歌劇団、「一度観てみたいと思っているけれど、なんとなく敷居が高い」と思っている方も多いのではないだろうか?

宝塚歌劇団とは、兵庫県宝塚市にある宝塚大劇場を拠点とする、未婚の女性だけで構成された歌劇団である。現在は花(はな)、月(つき)、雪(ゆき)、星(ほし)、宙(そら)組と、いずれの組にも所属しない専科に分かれている

一般的には、「宝塚」や「ヅカ」と呼ばれているが、ここでは「タカラヅカ」と記載する。

なんと1914年に創立されたというタカラヅカ。女子校の延長線上にあるようなそのシステムは、世間からは良い意味でも悪い意味でも浮世離れした、旧態依然とした組織だと思われているかもしれない。芝居やショーの内容も、男役は男らしく、娘役は女らしくという意味で、男女観が古いという指摘や、娘役が男役より人気が出ないシステムは前時代的だという批判も存在する。しかしこうした現代的な視点からの批判に頷きつつも、タカラヅカに日々励まされつつ、現実の社会で女性として戦っている自分がいるのも確かだ。その実感はどこからくるのだろうか。

ヅカファンと「ご贔屓」

タカラヅカに独特なのは、「トップスター(主演男役)」といわれるひとりを頂点としたスターシステムである。

宝塚歌劇 2021年PR映像/宝塚歌劇 公式チャンネル Takarazuka Revue Company/YouTube

自分の「ご贔屓」がどの立場にいるのか一眼でわかるようになっている。残酷にも思えるこの制度こそが、ヅカファンがご贔屓を応援する動機になっているのは言うまでもない。この制度はほかのジャンルにも存在する(タカラヅカに着想を得たのかどうかはわからないが、言うまでもなくタカラヅカのこのファンダムのシステムは相当古い)。例えばNiziUを輩出した虹プロや、モーニング娘。を生み出したテレビ番組「ASAYAN」などである。

NiziU(니쥬) 2nd Single 『Take a picture』 MV/JYP Entertainment/YouTube

モーニング娘。 『モーニングコーヒー』(MV)/モーニング娘。/YouTube

このシステムは、共通して、夢に向かってひたむきに努力する人を応援したくなるというファン心理に基づいている。


私が女性同士の戦いを観たい理由

タカラヅカの魅力のひとつは、女性同士がトップスターという頂点を賭けて切磋琢磨し合うところにもあるように思う。このテーマもまた、1970年代の少女漫画でも見られた、けっして新しいものではない。なぜ私は女性同士が戦う姿を応援したくなるのだろうか。夢に向かってひたすらに努力し、成長する姿に興味を惹かれるのか自分がプロデューサー感覚で見ていることが好きなのか、さまざまな見解がある。
 
私自身が、「タカラヅカ」という世界で戦う女性を応援する理由は、女性たちがお互いに自分を高め合うという、理想の姿が体現されているからだと思う。宝塚音楽学校に「清く、正しく、美しく」という校訓がある。ヅカファンなら誰もが聞いたことはあるこの校訓。私は、「清く、正しく、美しく生きていたい」と思うけれど、現実の世界ではなかなかうまくいかないことが多い。しかし、彼女たちは、それを体現しているように見える。過酷な競争世界のなかで、ただひとつの頂点を目指して前を向き続ける。人の夢や憧れをすべて受け止め、受け入れ、つねにチャレンジし続ける。タカラヅカという「終わり=退団」がある世界で、自分の理想に向かって苦悩する姿が、私には魅力的に映る。おそらく私は、彼女たちの夢を応援しているかのようで、じつは彼女たちに自分の夢を重ねている。同じ女性として、計り知れない苦労と挫折と幸せを想像できるからこそ、なおさら応援したくなるのだ。

タカラヅカは時代の少し先をいく


タカラヅカでは、トップスターを支える存在として、娘役の存在も欠かせない。以前は男役を、より男らしく見せる娘役が多かったが、近年はこうした娘役像も変わってきているように見える。舞台上では、男役と同じくらいの存在感があり、主演を務める娘役トップも存在する。最近では、当時トップ娘役だった愛希れいかが『愛聖女(サントダムール)』(2018)という演目で主演を果たしている。

以前は男役をたて、娘役は一歩下がってついていく「お慕い」系のトップコンビ(蘭寿とむと蘭乃はな、柚希礼音と夢咲ねねなど)が多かったが、今はともに戦う「パートナー」系(望海風斗と真彩希帆、礼真琴と舞空瞳など)が主流になってきている。こうしたトップスターとトップ娘役の関係性の変化は、女性の社会進出が進んだ現実社会の縮図のようにも見えるが、それだけではないと私は考える。女性が男役を演じるという時点で、タカラヅカはすでに時代を先駆けていた。また、舞台の演目(『風と共に去りぬ』や『エリザベート─愛と死の輪舞(ロンド)─』など) によっては、男役が娘役を演じることもあり、ここにはジェンダーフルイディティーを先取るような、タカラヅカの自由の探求、挑戦が見出される。私は一歩先の未来を進もうとする姿を、タカラヅカに期待し、応援するのかもしれない。

「タカラヅカは非日常の世界だ」という人もいるが、私自身はそうは思っていない。「清く、正しく、美しい」ものを観ようとして、私は劇場に行く。しかし、私が観るものはそれだけではなく、美しい存在であろうとする葛藤や苦悩を、目撃しに行くのだ。この世界のどこかで「清く、正しく、美しく」という理想を追い求め、体現する彼女たちがいるということは、私にとってとても勇気づけられるものである。私は、現実を忘れるためにタカラヅカを観るのではなく、現実を戦う勇気をもらうために、タカラヅカを観るのだと思う。

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2021/08/16
執筆者 |
早希
(さき)

20歳。自由を愛する、生粋の大阪人。甘いものが嫌いで、辛いものが好き。自他ともに認めるAB型。

写真 | 宝塚歌劇団公式HPより
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