#youth|Z世代のファッションと価値観|古着循環屋 「VOLOSYSTEM」インタビュー
世の中、僕みたいな感じで、全然社会課題とか興味ない人たちって多いと思うんです。僕らが社会課題への取り組みを思い立ったのは、せっかくだから面白いことがやりたくて、世の中、社会に影響力のある仕事だったらもっと面白いよねって考えたんです。
#サステナビリティ #VOLOSYSTEM #SDGs #アップサイクル
culture
2021/07/16
インタビュイー |
紫+眞鍋ヨセフ(elabo編集部)

(ゆかり)

2000年生まれ。カフェオレ中毒。猫が大好きで、街中で猫を見かけるだけで一日幸せ。フランス語を勉強中。

眞鍋ヨセフ(まなべ・よせふ)

24歳。elabo youth編集長、Kendrick Lamarを敬愛するHiphopオタク。映画、アート鑑賞、読書が趣味。


新しい服と出会って、好きな服があれば交換して持ち帰る循環

elabo

今日はよろしくお願いします。若者の間で古着がカルチャーとして認知されていると思います。近年ではファッションとしてだけではなく、SDGsだったり、ソーシャルグッドといった側面からも古着は注目を集めていますが、今日は「VOLOSYSTEM」という名前で、古着を循環させるプロジェクトを主催しているヒロムさん、ワカさんにお話を詳しく伺いたいと思います。

ヒロム

僕は、大阪の中崎町で「Uvillage」(ユービレッジ)★1っていう、バーとゲストハウスをやっています。ちょうど4年前ぐらい、僕らが20歳の時に始めました。まず出発点としてはいわゆる社会企業でした。今だったら環境問題や社会問題に興味関心ある学生も多いんじゃないかと思って、そういうものを需要と捉えるというか、簡単に言ったら社会にとって良いことで仕事をしていこうっていう趣旨でできた場所、コミュニティです。普段はいろいろなイベントをしてるんですが、そのなかのひとつとして、古着の循環のサービスを、去年の9月、10月くらいから始めたというのが最初ですね。ほかのイベントとしては、フードロスに特化して、普通の居酒屋みたいな形態で、出している料理はすべて、本来だったら捨てられるはずのものだった食材を扱っています。全品200円均一で提供するホルモンストアというイベントもしていて、9月中旬には店舗化しようとしています。古着循環屋 「VOLOSYSTEM」の活動もゆくゆくは事業化していく段取りで考えているんですけど、年内には厳しいかなということで、事業化と店舗化は、来年再来年くらいを目標に掲げてっていう感じですね。

elabo

VOLOSYSTEMの店舗というか場所は、Uvillageの中でやってるんですか?

ヒロム

今はVOLOSYSTEMに店舗はなく、イベントみたいな感じで、月に1回人を呼んで、もともと僕らが集めている着なくなった服や誰かにあげたい服を古着屋さんみたいに並べています。参加者は自分たちが着なくなった服を持ってきて、そこに並んでる服、新しい服と出会って、好きな服があれば交換して持ち帰れる。そういう循環を生み出そうとしています。

ファッションの背景にある環境問題を事業にする

elabo

かたちが新しいですね。普通の古着屋では、バイヤーが買付けを行って、お客さんがその価値観や服を受け入れるというかたちで購入をするわけですけど、そうじゃなくて、もう完全にお客さん主導で進むんですね。

ヒロム

ほんとはね、個人的に好きな服もあるんで、買付けもしたいし、僕はセカスト★2とかも好きで、あの山のような服の中から自分の好きな服を2時間でも3時間でもかけて見つけ出す、みたいな作業はめっちゃ好きなんで。多分服好きな人だったら、大体みんなそうだと思うんですけど。

elabo

わかります。

ヒロム

古着屋だったら、自分が好きな服をセレクトして店で出したりしたいんですけれど、僕らが根本的に考えているのは、いわゆるファッションロスとか、日本で年間100万トンの服の廃棄があるみたいなところを、じゃあどういうふうに環境を大事にして、廃棄を削減していこうかっていう話なんです。ほかの古着屋さんと違うところで言うと、ただ自分たちが好きな服だけを扱って、それをみんなにあげたりそこで循環を促すっていうよりは、お客さんも含めて全体としてファッションロスの削減を目指して、事業を行っていこうという感じですね。

elabo

ファッションロスや、衣服の裏には環境問題があるといった問題意識は、立ち上げる以前からあった感じなんですか?

ヒロム、ワカ

ああ~

ヒロム

どうですかワカさん、その辺は?

ワカ

僕は正直、古着を着るきっかけになったのは、古着自体が流行りはじめのときで、シンプルに自分の個性を出せるなと思って着るようになりました。専門学校に通っているときに、関西学院大学の「デザイングループ」というサークルが企画したファッションショーに参加する機会があって、たしかそのショーは“madness”、日本語で言うと「怒り」がテーマでした。僕は「怒り」というテーマで、ファストファッションに対する怒りみたいなものを表現したくて、ファッションショーで、すべてのファストファッション、GU、UNIQLO、H&Mといったブランドだけのアイテムを使ってショーに出したっていうのがまず一番のきっかけです。そこからまったくファストファッションは身に付けなくなって……やっぱり古着を着ることのほうが意味があるんじゃないかなって。ただ単に古着がおしゃれやから着るってだけじゃなくて、自分の個性を出せて、なおかつずっと使い続けられる、流行り廃りがないという部分が魅力として大きいかなぁと思います。

elabo

なぜ「怒り」というテーマでファストファッションでのショーをつくったのか、もう少し説明していただきたいです。

ワカ

僕は、その当時から古着を着ていましたが、もう流行を過ぎたものとか、破れてしまったものなど、ファストファッションと呼ばれるアイテムがたくさん自分の部屋に置きざりにされていました。そんなわが身を振り返って、なぜか怒りを感じて。これらは売れるわけでもなく、いつの間にか僕のなかですでに価値のない物になっていました。毎年こんなに買い物に浪費しているのは、そもそもお金がもったいないし、これらを着ていても、自分の価値上げることはないと思って。もう着ないでおこうと決心しました。

だから、関学でのショーは、自分のなかでファストファッションと呼ばれる服との決別の意を込め、破いたり、変形させたり、普段は着ないような形にし、ファストファッションの脆弱性や、その背後にある労働環境等への怒りを表現し、目立たせるために、狂気的なスタイリングをしました。

大事なのは古着を着ることをカルチャーにすること

elabo

ヒロムさんの場合はどういう経緯でしたか?

ヒロム

むしろすごく疑問なんですが、なんで最近の若者というか学生は、社会問題に意識的で、どうにかしなきゃいけないみたいな感覚になってるのか。これは僕からしたらすごい不思議です。べつにみんな普通に生活しているうえで、困ってることはとくにないじゃないですか。極論ですが、発展途上国の人たちみたいに、毎日、一食分を食べるお金もないし、仕事も全然なくて、毎日頑張って必死に生きなきゃどうしようもないような状況だとします。それだったら普段の生活そのものに対して疑問も出てきて、世の中こうしたほうがいいんじゃないかとか、貧困問題を解決しないといけないっていう感覚になるというのはわかるんですけど、正直日本で普通に暮らしている分には何ひとつ不自由なんてなく、普通に働いて、普通に生活してれば、そんな社会問題なんて、上の世代の政治家の人たちが勝手に決めてくれたらいいことなんで、どっちでもいいと思うんですよね、僕の正直な意見としては。

僕らがUvillageというコミュニティをもって、社会課題を解決していこうと思い立ったのは、せっかくだから仕事をするうえで面白いことがやりたくて、それが世の中や社会に影響力のある仕事だったらもっと面白いよねと考えたのがきっかけです。

でも世の中、僕みたいな感じで、全然社会課題とかに興味がない人たちって多いと思うんです。普通に古着が好きな人は多いと思いますが、環境問題がやばいから古着着なきゃいけないという思想を持っている人なんてほとんどいないと。でも僕らのVOLOSYSTEMという活動を広げていくためには、そういった興味や関心がない層にいかにアプローチできるかっていうところが挑戦だと思っています。実際ファッション業界の背景ではどれだけ環境への負荷がかかっていて、どれだけの問題が起きてるかを知ることが、第一歩なのかなと思う。僕らも啓発的な活動をどんどん行っていく必要があるんじゃないかと思っています。そうやって同じような考えを持っている人たちと協力、協業しながら、新しいファッションカルチャーを生みだしたらいいんじゃないかという考えですね。

elabo

ご自分は関心が強くはないのに、社会課題を解決することを「面白い」って感じたことが面白いですよね。それはなぜだと思いますか?

ヒロム

これは僕の感覚の話になるんですが、一般的な飲食店や古着屋とかを開業することにあまり興味がなかったんです。その後を想像したときに、ある程度売り上げや規模の天井は決まっているし、そういうものは社会に溢れているじゃないですか。わざわざそれを自分で実行する意味はないと思っています。単純に社会課題や社会問題って事業として成り立たせるのはめちゃくちゃ難しいし。だからこそうまく世の中に浸透していけるような社会企業を生み出すことを考えたら、すごいやりがいがあるなって感じたんです。その可能性に賭けてみたいというのが一番の理由ですね。 

ワカ

僕らが目指すのは、古着を着なきゃいけないではなく、着たほうがいいよというニュアンスです。サステナビリティを強制するものではなく、カルチャーにしたいなと思っているんです。「やったほうがいいな」って思える活動ですね。

elabo

「やらなきゃいけない」じゃなくて「やったほうがいいな」っていう理念があって、文化をつくることが基本なんですね。ヒロムさんは先ほど、本当は環境問題や社会問題には興味がないとおっしゃっていたじゃないですか。ビジネスということを考えると、ヒロムさんは興味がないという考えのターゲット側の人間だからこそ、顧客の心理を理解できる感覚がありそうですね。

ヒロム

(笑)でもどうやったら僕らが生み出す古着屋さんを利用しやすいかなとか考えますよね。僕らの今やっている古着の交換会の活動では、服自体には値段はつけないことにしようとしています。じゃあどこで収益あげるかというと、服を持ってきます、持って帰ります、という利用料でお金を取ろうかなと思っていて。そこがほかの服屋さんとは違うところです。今ファストファッションってめちゃめちゃ安いじゃないですか。500円とかで買える。1000円で新品の服をワンシーズン着るぐらいだったら買ってもいいかな、みたいな感覚だと思うんです。世の中にもう安い服が出回りすぎている現実があって、じゃあ新たに参入するのに何で勝負できるのかっていうと、もう服に値段を付けないで、でも安い服よりデザイン性があって、想いも込もっていて、ちゃんと大切に着たいなという想いがどんどん上乗せされているみたいな、もっと贅沢な選択ができるという点にあると思っています。そういう習慣を商品にしたい。VOLOSYSTEMの店舗化も、みんながその店舗を自宅のクローゼット代わりにするというコンセプトで、「今日何着ようかな」みたいな感覚で店舗を利用してくれたらいいなと思います。


elabo

服自体じゃなくて、服っていうものを媒介として時間とか出会いとかにお金をかける感じなんですね。今後のVOLOSYSTEMの展開はどのようにしようと考えていますか?

ヒロム

今は定期的にUvillageのお店でやっていますが、7月から大阪の堀江の「Urban Research」でも始める予定です。去年の9月~10月くらいかな、Urban Researchさんが「THE GOODLAND MARKET」というサステイナブルに特化した新しいブランドを展開しているんですが、その「THE GOODLAND MARKET」の担当者から声かけてもらいました。そういうわけで7月から定期的に堀江のUrban Researchで古着交換会をするので、宣伝させていただきました(笑)。

Upcycle──モノに新たな価値をつけて売る

elabo

Instagramを拝見すると、シルクスクリーンで古着にプリントしたり、直近だったら和服を回収して、それをアロハシャツにリメイクしていて、めちゃめちゃ面白いなと思いました。アロハシャツの原型は日本からの移民の人がつくった和服のリメイクだったことも知らなかったです。

古着の面白さって、個々の服がもつ歴史やオリジナリティ、その一着しかないという価値にあると思います。VOLOSYSTEMのシルクスクリーンの服や和服リメイクのアロハシャツを見たときに、そういうプロダクトには、服にまた新しい価値を与える、あるいはそこに価値を生み出してあげるといった意識があるのかなって感じました。どうでしょうか?

https://www.instagram.com/p/CQV9hHLj6Qq/?utm_source=ig_web_copy_link

ワカ

そうですね、僕らはUpcycle(アップサイクル)っていう発想をもとにやってます。

elabo

Upcycle?

ワカ

リサイクルとはまた違って、モノに新たな価値をつけて売るという意味です。

ヒロム

Upcycleは服に限らず、価値が全然なくなってしまったモノを、いろんな人のアイデアとか工夫によって、また新たな商品がつくられて、その価値がどんどん上げていこうとする意味合いです。昔の家で遺品整理なんかをすると、タンスの中から着物が100着とか普通に出てくるんですよ。めちゃめちゃ生地も良いし、素材としてもかっこいいものがたくさんあるんですが、正直回収業者の人からしたら、それをわざわざ扱ってまた業者にリサイクルうやリメイクをお願いすることってすごい手間とコストもかかるし、産業廃棄物や焼却に回しちゃったほうが手間もコストも削減できるので、結構ガツガツ捨てられているのが現状なんですよ。でもそういう着物は日本の伝統的な文化で、時代を経て語り継がれてきた大切なものだから、それを現代に馴染むようなデザインで、新しく販売する活動を、僕はめちゃめちゃかっけぇなと思っていたんです。

elabo

着物ってかっこいいですよね。じつは以前おばあちゃんに着物を解体してもらって、バッグをつくってもらったんです。

ヒロム

すごい不思議なのが、おばあちゃんってめっちゃ手先器用じゃないですか。

一同

(笑)

ヒロム

実家帰ったら、ちょっと巾着作ったよとか小銭入れ作ったよ、みたいな(笑)。

ワカ

僕が働いているカフェでも、毎日ラックを用意して古着の交換をさせてもっらてるんですけど、そこでも、90歳のおばあちゃんが編んだニットを4,5着持ってきてくださって、それがめっちゃウケている。

elabo

そういう過去を懐かしむノスタルジーも、Z世代の特徴と言われているんですが、ワカさんはそのあたりはどう捉えていますか?

ワカ

そこは、各々によって違って良いと考えています。僕の周りでも、ハイブランドを好んで着る子もいれば、全身ゴリゴリのヴィンテージ古着を着る友達もいます。それぞれ、幅があるものであって良くて、僕自身が古いものへの想いが強いだけで、人によるもんですね。好きな年代を懐かしむ気持ちもあるけど、僕の場合はそれプラス、どんな人が着ていたとか、その古着のストーリーなんかを感じることができたらもっと愛着が湧くし、長く使おうていう考えになるなって! そういう思考が大衆に広まれば尚良いなって思っています。ノスタルジーだけじゃなく、トレンドとのハイブリッドが良いバイブスですね。

エピソードタグを受け取って、服を長く着たいと思えるように

elabo

ファストファッションはVOLOSYSTEMが目指すかたちとは真逆にあるとも言えます。ワカさんは先ほど、「もう着ない」とおっしゃっていましたけど、ファストファッションについてはどのような問題意識をお持ちですか?

ワカ

着ないっていうよりは、着続けることができない服ということかな。どうしてもあれだけ安い値段で売られているものは、ちゃんと着ても1年くらいしかもたないし、長く着ることができない。まぁ正直、ファストファッションの服自体が悪いっていうわけではなく、ファストファッションの仕組み自体がよくないんじゃないかなと思っています。実際この交換会でも、最初はGUとかUNIQLOの服も断らずに置いていたんやけど、やっぱり持って帰る人は全然いなくて、やはり時間を超えて必要とされる服じゃないんやなと身を持って感じた。

elabo

やはりファストファッションは、大量消費を前提にしているデザインや質ということなんでしょうかね。最近のインスタグラムの投稿で、ファストファッション以外は受け付けます、って書いてありましたね。

ワカ

はい、今はそういうかたちでやらしてもらってます。

elabo

古着交換会ではスタイリングとかもされているんですか?

ヒロム

ワカがメインでしています。元々スタイリングの仕事もしていたので。

ワカ

スタイリストのアシスタントを以前、短い期間でしたがやらせてもらったことがあっったんです。その時は古着ではなかったけれど、古着にも共通する部分はもちろんあるので。初めて来た人とか、初めて古着を着ますっていう人に対して、ガチガチに全部スタイリングするのではなくて、軽く提案するというかたちで今はやってますね。

ヒロム

一応その古着交換会のときは、持ってきてもらった服にエピソードタグを用意して、その服にどんなストーリーや背景があって、といったメッセージを書いてもらっています。「こんな感じで着てたよ」でもいいし、「元カレからプレゼントしてもらった」みたいなのでもいいし(笑)。なんかこう、前着ていた人から次その服を着る人に向けてのメッセージがあったら、次に切る人もその服をより大切にするかなと思ったんですよ。若い女の子だったら、お父さんとかおじいちゃんが着ていたジャケットをもらって、「これめっちゃかっこいい」みたいな経験ってあると思うんです。そういうストーリーの受け継ぎはひとつのコンテンツとして面白いと思います。

elabo

面白い、めっちゃいいですね、メッセージを書いてもらうの。

ヒロム

これはあくまでもひとつのコンテンツで、メインで打ち出しているわけではなくて。あくまでも、古着はデザインとか、かっこいい、かわいいという直感で選ぶことが大前提だと思うんですよ。同時に、自分にとって特別感を持てることが古着の一番の良さだし、それぞれの服の時代背景、いつつくられて、こんな感じの人が着ていたというストーリーを知ることができるといいですよね。

elabo

古着が好きな人って、背後にある歴史やストーリーを自分が調べたりしますが、そうした調べられない情報であるメッセージを受け取ると、とても刺さると思います。

ヒロム

40代、50代のアッパーの方たちって意外と古着を好まないんです。もちろん好む人はいますが、好まない人は全然好まなくて。まだその世代には「古着は汚い」というイメージもある。今でこそ、例えばセカストもそうですが、いろんな古着屋さんが出てきていることで、古着は一点物、特別な物っていうブランディングがどんどん打ち出されている。だからみんななんの抵抗もなく、これかわいいね、かっこいいねみたいな感じで、着たりしてるんですけど。僕らがこれからやってく活動も、その古着ブームにも乗りつつも、それが本当に社会にとって必要なものなら、勝手に広がってくんじゃないかなと思っていますね。ファストファッションも僕からしたら、今すぐその生産をやめてくれとは思わないし、そんなこと言うのも僕らの力じゃとうてい無理だし(笑)。

まずはエンターテインメントとして楽しむ

ワカ

僕ら若い世代は、ある種影響を受けやすいので、みんなが意識を変えれば行動を変えていけるんじゃないかと思えるし、さらに社会問題や服の背景、ストーリーをちゃんと知ってもらってこそ、古着を着ることことの価値がしっかり出てくると思っています。

ヒロム

結局アパレルとかファッション業界って、ブランディングの世界なのかなと思う。もちろん「ブランド」にすることで悪くなることもあると思うんですけれど。かっこいいブランドとは何かと問われた場合の、そのかっこよさの概念を根本的に変えていくのが一番大切だと思います。友達にも、「社会課題って言われても堅苦しいよね」と言われる。またメッセージ性だけを押し付けられても、何が良いかわかんないし、それに自分が従ったとこでメリットはあるの? という反応もある。社会課題という感覚はすごく大事であると同時に、難しいところです。僕らが一番打ち出したいのは、社会問題・社会課題と同時に、エンターテインメントとして「面白いね」と楽しむアクションから入れるようにすること。そうしたほうが参加者側は楽なのかなって。

elabo

ヒロムさんの、「かわいいから」、「かっこいいから」というその言葉に尽きますよね、古着って。

ヒロム

「お前ら、社会が、環境がヤバいから、この白T着てろ」って言われても嫌じゃないですか(笑)。それで「はい」って賛成する人って、自分のなかにすごい強い信念を持ってる人。世の中そんな人ばっかじゃないし、やっぱそういう層にどう受け入れてもらえるかが大事だと思っています。

インタビューを振り返って|youth編集長 眞鍋ヨセフ

今回のインタビューの最後で僕は「可愛いから、おしゃれだから古着を着る」という安直な発言をしています。実際に自分は「古着のどこが好きか?」という質問に答えられない。同様に、インタビューを振り返ると、SDGsや環境問題といった文脈は若い世代に認知されているが、「自分ごと」としては受容されていないという課題が見えました。「社会課題って言われても堅苦しいよね」と語ったヒロムさんの友人のように、古着好きというカルチャーは確実にZ世代のなかにあっても、その意味自体については無自覚な人が多いと思います。

それを踏まえて、ワカさんの「サステナビリティをカルチャーにしたい」という発言は、僕たちに新しい行動を促すことのできる言葉だと感じます。感覚的なものを介しながら、意識せずに行動を変化させることがカルチャーの大きな力だと思うからです。

古着は環境への配慮やSDGsの文脈にも当てはまるように、ファストファッションとは相容れないカルチャーとも言えます。一方で、古着のジェントリフィケーションという問題があるように、ファッションとしての側面が先走り、価格高騰を引き起こしたり、過剰消費の対象となっている指摘も存在します。古着循環屋のプロジェクトの面白い部分は、単なる衣服の交換ではなく、服自体とそれに付加する価値を「交換」している点だと思います。

例えば、自分の服への思い入れを書いたエピソードタグだったり、服の交換自体にはお金が発生しないシステムは、それぞれの服に存在する「自分ごと」の交換とも言えると思います。それは社会問題を私たちにそのまま押し付けるのではなく、むしろ、知らず知らずのうちに社会貢献に人々を巻き込むものだと思います。古着循環屋VOLOSYSTEMは、今は小さく見える行動が、やがては大きく社会を動かすカルチャーとなる可能性を持つプロジェクトだと感じました。

★1──Webサイト:https://www.uvillage415.info
Twitter:@uvillage415
住所:〒530-0016 大阪府大阪市北区中崎1-6-15  3F


★2──2nd STREET(セカンドストリート)。古着、バッグ、アクセサリー、家電、家具などの総合リユースショップ。全国700店舗以上展開している。

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2021/07/16
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紫+眞鍋ヨセフ(elabo編集部)

(ゆかり)

2000年生まれ。カフェオレ中毒。猫が大好きで、街中で猫を見かけるだけで一日幸せ。フランス語を勉強中。

眞鍋ヨセフ(まなべ・よせふ)

24歳。elabo youth編集長、Kendrick Lamarを敬愛するHiphopオタク。映画、アート鑑賞、読書が趣味。


写真 | 古着循環屋 「VOLOSYSTEM」
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