私たちはなぜ髪を切るのか:20代イラン人女性へのインタビュー
22歳のマフサ・アミニさんがヒジャブを正しく着ていなかったという理由で警察に身柄を拘束され、その後死亡したという出来事を受けて、イランで反政府のプロテストが起こり、すでに1ヶ月が経過しています。プロテストは継続し、すでに数百名の人が亡くなっているとも言われています。
#MahsaAmini #womenlifefreedom
politics
2022/11/04
インタビュイー |
Mさん

  

■若い女性がリードする前例のない革命

 

elabo編集部

22歳のマフサ・アミニさんがヒジャブを正しく着ていなかったという理由で警察に身柄を拘束され、その後死亡したという出来事を受けて、イランで反政府のプロテストが起こり、すでに1ヶ月が経過しています。プロテストは継続し、すでに数百名の人が亡くなっているとも言われています。この運動を牽引するイランの若い女性たちを応援する意味でも、また、この出来事には日本の私たちにとって、特に日本人女性にとって多くの学ぶべきことがあるとの理解から、20代のイラン人女性の方に、現在進行している運動についてお話を伺いました。ご本人とご家族の身の安全のため、匿名(Mさん)にさせていただきますが、10月中旬にお話を伺った内容を、ご本人との編集のもと、責任を持ってお伝えさせていただきます。

 

日本の報道によると、1979年のイスラム革命前、パフラヴィー王朝は米国と良好な関係を築き、イラン社会は欧米化していたそうですね。独裁体制下では政治的な自由はないけれど、少なくとも個人の自由はあったのだそうですが、1979年の革命後、そうした自由はすべて失われた。そして現在のイランでは革命後の世代がすでに全人口8,400万人の7割を占めているそうです。日本のメディアからは以上のような基本的な情報しか得られないのですが、まず、今何が起きているのか、若者の立場から説明していただけますか?

 

 

Mさん

現在の運動は、直接的には2009年のグリーンムーブメントにさかのぼります。政府は選挙で不正を行い、大統領を指定しました。政府はある特定の人物を大統領にしたかったのです。その時、人々は通りに集まり、「我々の票を返せ」というスローガンを掲げました。その時も、多くの人が逮捕され、多くの人が殺されました。当時、この運動は、支配体制や大統領を変えることはできませんでした。しかし、現在のシステムが機能していないことを人々が認識するきっかけとなったのです。人々が、政府の正当性に疑問を持ち始めるきっかけとなったのです。

 

そして、2018年にも運動がありました。今度は、原油価格の上昇による経済問題が引き金となりました。物価が高騰し、人々は貧しくなりました。その時も、いくつかの抗議運動があり、多くの人が殺されました。多くの人が逮捕されましたが、それでも何も変わりませんでした。イランでは、さまざまな人がさまざまな理由で何度も抗議行動を起こしてきれいるのです。そのたびに、彼らは政府から弾圧されました。しかし今回は、運動は続いています。前進しているのです。今回は抗議すべことを抱えている人たちが皆この運動に参加しています。ヒジャブ強制への抗議が運動の発端ではあるのですが、抗議に参加している各グループがそれぞれの要求を持っています。例えば、少数民族は貧困や生活環境の悪さから抗議し、労働者は労働条件の改善を求めて抗議しています。これが、2009年の抗議運動とは大きく異なる点です。

 

Elabo編集部

なるほど、そうなんですね。今回、どうしてそのような変化が起きたと思われますか?

 

Mさん

圧力がかかっていて、最後のひと押しで、もうみんな耐えきれなくなったという感じです。殺されたマフサ・アミニという人は、女性であると同時にクルド人でした。つまり、彼女はイランの少数民族だったのです。だから、さまざまな少数民族がこの運動に参加しているのです。また、石油産業を中心に、ストライキを起こした労働者もこの運動に参加しています。これは大きなことです。これが続けば、状況を変えることができると私は考えています。なによりも、若い人たちはとても勇敢で、みんなに勇気を与えてくれています。

 

elabo編集部

そうですよね。それは日本にいる私たちにとっても、とても印象的なことです。逮捕された人の平均年齢がわずか15歳だと聞いて、驚いています。

 

Mさん

そうなんですよ。

 

elabo編集部

その年齢だと選挙権もないんじゃないですか?

 

Mさん

はい、選挙権はないですね。

 

elabo編集部

なぜとても若い彼ら、彼女らは、熱心にこの運動に身を投じているのでしょうか?

 

Mさん

イスラム教では9歳からヒジャブを着なければいけないんです。そして、イランでは学校に行くときに制服にヒジャブがあるので、女の子は7歳からヒジャブをつけなければならなりません。イランの学校は宗教色が強く、学校内では女子と男子が全てにおいて分けられています。ですから、イランの若い女の子たちは、常にこうしたプレッシャーにさらされています。また多くの教師が、ある種の振る舞いを強要してきます。私は道徳警察の経験はありませんが、学校の中で先生や職員から「決まった服装をしなさい」「ヒジャブをきちんと着けなさい」と言われた経験は何度もあります。

私の両親も同様のシステムの中で育ってきました。その苦労を知っているからこそ、子どもたちに力を与えてくれたのです。若い親であればあるほど、厳しくなくなってきています。家庭では子どもたちは自由に振る舞うことができ、自分の頭で考えることができることが多いです。その結果、子どもたちの生活が2つに分割されます。つまり家の中では自分の生活があり、自由で、何をやってもいい。けれど、外に出たり、学校に行ったりすると、突然、まったく別の人間として扱われることになる。服装も全く違うものを着なければなりません。これは大きなプレッシャーです。

 

■自分の国に自分が所属していないような感覚

 

elabo編集部
日本では、教育機関の先生は比較的リベラルです。その代わり、女の子は学校を卒業してから抑圧され始めます。イランでは、宗教に近く、厳しい先生が多いのでしょうか。

 

Mさん
そうですね、学校の先生の仕事は、生徒一人ひとりがイスラムのルールを守っているかどうかを確認することです。もちろん、いろいろな信念を持った先生もいます。抑圧的なイデオロギーに対抗している先生もたくさんいます。しかし、学校に配属され、全員が規則を守っているかどうかを確認し、守っていない人を報告するために存在している教師たちもいます。学校でどれだけ行儀よくしているか、具体的な成績が出るんです。私は満点を取ったことはありません。ヒジャブをきちんと被っていなかったからです。イランで大学に進学するとなると、本当におかしなことになるんです。普通は、大学では学びたい専攻に集中する必要がありますよね。でも、イランの大学では、自分の専攻と並行して、神学やイスラム教を学ばなければならないんです。

もし自由に選べるのであれば、イランでムスリムであり続け、自分でヒジャブを選びたい人はたくさんいるはずです。 7年前の調査によると、7割の女性が政府が命じたようにヒジャブをきちんとつけていませんでした。多くの都市で、ヒジャブ強制ルールに反対する人の数が賛成派の数を上回ったのです。しかし、これは彼らがイスラム教徒でないとか、全員が抗議行動に参加しているということではありません。デモに参加している人たちの中にも、イスラム教を信じていて、ヒジャブを持っていて、ヒジャブを脱ぎたくないという人たちはたくさんいるのです。

要するに問題は「選択の自由」なのです。私たちの問題は、権力を持つ人たちが強要していることです。そして、イランの社会では、ほとんどの女性は、他者か部外者として扱われていることも問題です。私たちはメディアやテレビで表現されることはなく、どこにも受け入れられていないのです。政府は私たちを無視し、存在しないかのように扱います。こうしたことから、人々はイランの現在の社会ルールに対して抗議したくなったのです。

政治家は「ルールに反対なら国を出て行ってもいい」と言い、実際多くの人がそうしている結果、世界中にたくさんのイラン人がいるのです。自分の国では自分らしくいられない、自分の国では幸せになれないし、将来の計画も立てられないのです。

私も街に出る時には、道徳警察に出くわすかもしれないと、いつも服装に神経を使います。あるいは、大学に行くときも、入れてもらえないかもしれないと、いつもビクビクしています。そしてこうした恐怖感から「ああ、私は何か間違ったことをしているんだ、私はここにふさわしくないんだ」と感じるのです。私のことを受け入れてくれないし、このコミュニティの一員にはなれない。この世界の一員になることはできないという感覚です。


自由を求める人たちは、自分の国から切り離されたように感じてしまっているのです。だから、デモ参加者が言うことの一つに、「自分の祖国を取り戻したい」という言葉があるのです。

 

elabo編集部

イランと日本ではいろいろな違いがありますが、イランで疎外されている女性たちの心境は、多くの日本の女性が共感するところではないかと思います。

 

■男性と女性が共に女性の権利のために闘っている

 

elabo編集部

今、「選択choice」という言葉が出ましたね。これは、特に欧米諸国での人権運動や、最近ではアメリカのフェミニズム運動を後押しする重要な概念です。イランの若い女の子たちは、そういう概念を欧米の文化から学んでいるのでしょうか。

 

Mさん

若い世代はソーシャルメディアにアクセスできるようになったので、他の国のライフスタイルを知ることができるようになりました。そういう自由への憧れが、この運動の原動力になっています。ただ同時に、そういう考え方は親からの教育から来るものだと私は思うんです。いずれにせよ、10代のデモ参加者たちは、独裁政権に対して声を上げ、選択の自由を手に入れることができると信じています。

 

elabo編集部

イランというと非常に父権主義的なイメージがありますが、父親も娘を励ますのでしょうか?日本を含む東アジアもまた家父長制が根強いので、女性のエンパワーメント関する年配の男性の意見は賛否両論あるように思うので、お聞きするのですが。

 

Mさん

ヒジャブ義務化を変更すること快く思っていない男性は、まだまだ多いように感じます。でも、ある男性がイランの状況を説明しているビデオを見たんですね。

 

彼は、イランでの運動と、MeToo運動のような欧米諸国のフェミニズム運動の違いについて述べていました。MeToo運動は男性に対するものでしたから、女性が男性に対抗するようなものでした。でも、イランの運動は、最初から、男性・女性両方のためにある感じなんです。だから、多くの男性が街頭に出て、抗議している女性を守っているんです。

 

elabo編集部

ええ、ソーシャルメディア上の動画で見ました!とても印象的でしたし、正直とても羨ましく思いました。

 

Mさん

男性も女性も、さまざまな側面から抑圧を感じているのだと思います。男性の行動にも制約があるんですね。だから、男性も女性も参加することで、今回の運動は強力なものになりました。

 

■抗議する方法は世代を超えて記憶され、継承されていく

 

elabo編集部

イランの若い世代は、権力との闘い方、抗議の仕方をどのように学んだのでしょうか?

 

Mさん

まず、イランにおける専制政治は非常に長い歴史を持っています。19世紀の初め、改革派で人気のあった主席大臣が国王の命令で殺害されたところまでさかのぼります。その100年後、改憲運動が国王の権力を制限するために議会の設立を望んだ。1979年のイスラム革命も、パフレヴィ朝の独裁に対する闘争の結果だったのですが、結局、宗教的権威を持つ全体主義的な体制に変わってしまいました。

1989年には、数千人の思想犯が虐殺されました。そして少なくとも200人の作家、詩人、ジャーナリストが連鎖的に殺害され、大学生による抗議デモが起こりました。1999年には、イスラム過激派がテヘラン大学を襲撃し、少なくとも7人の学生を殺害し、多くの者を逮捕しました。要するに、歴史的に見ても、私たちは多くの抗議行動を起こしてきたということなんです。こうした記憶は、人々の心に残っています。

 

elabo編集部

髪を切るという行為が、今回の抗議活動でひときわユニークに見えます。この行動はどこから来ているのでしょうか?

 

Mさん

この行為はイランの神話に由来します。シアヴァーシュ(Siavash)というイランの神話に出てくる、不当に殺されたことで有名な英雄がいます。彼の葬儀のとき、妻のフランギス(Frangis)が髪を切って腰に巻いて、悲しみと抗議の意を表しました。歴史上、特にクルド人の中で、夫の死後、女性が髪を切るのは、髪が象徴する美しさを奪い、新しい人生の始まりのために髪が再生するのを待つための伝統となりました。今回のプロテストで行われている髪を切るという行為は、抗議する女性たちの悲しみを表しているのと同時に、亡くなったマハサが属していたクルド人の伝統への賛辞でもあるのです。

elabo編集部

そう言う点でも、今起こっているプロテストは必ずしも欧米流ではなく、むしろイラン独自の抗議の仕方なんですね。

 

Mさん

そうですね。イランが半植民地化された時代もありましたし、欧米に支配された権力に対抗する運動も多かったですから。

 

■欧米諸国に大きな援助を期待することはできない

 

Mさん

もちろん、欧米の影響は、自由という概念だと思います。イラン人は他の国の人たちを見て、自分たちがどうすれば自由になれるかを知り、そのような自由を実現したいと思っています。けれども、欧米諸国がイラン人の抗議の仕方に影響を与えているとは思えません。デモ参加者はビデオを撮影し、それをソーシャルメディアで共有しています。イランではBBCやCNNを信用する人はいませんし、こうした西側諸国の政府を信用する人もいないんです。

 

もちろん、私たちは外国の人々に支持してもらいたいのですが、干渉は望みません。アメリカやイギリス、その他多くの政府は、自分たちの利益を優先していると思います。彼らは、私たちの政府が変わるよう促すようなことは何もしません。だから、イランで起きていることに対して声を上げるのに今回も時間がかかったのです。結局、自分たちの利益が損なわれることを恐れていたんだと思います。

 

elabo編集部

イランやロシアで起きていることは、国そのものを変えるのはその国の人たちしかできないことで、外からの支援はあまり意味がないことを教えてくれているように感じます。

 

Mさん

もちろん、欧米諸国からの支援はありがたいんです。イラン政府を無力化し、孤立させることも一つの手でしょう。でも、欧米の政府もまた、自分たちに不利益になることには声を上げないですし、何もしてくれないと思います。

 

elabo編集部

歴史的な背景を考えると当然といえば当然なのですが、イラン人の方々の欧米に対する距離感も私たち日本人とは違っていて興味深いです。日本では、私も含めて、近代化というと欧米がモデルだという考えが強いと思いますが、あなた方は違う考えを持っている。これは私たちに異なる視点を与えてくれます。

 

そういえば、欧米のヒジャブに対する見方は、以前も今も、イスラム女性の視点が含まれていないことが多いですよね。欧米のヒジャブに対する考え方について、どう思われますか?

 

Mさん

一方にイスラム教があり、もう一方にイラン・イスラム共和国があります。この2つは別物です。まず、イランでの運動はイスラム教に反対しているわけではありません。私たちは選択の自由について話しているのです。イスラム教徒になりたいか、なりたくないか、ヒジャブをつけるかつけないか。イスラム教徒がヒジャブを着たいと思うのは自然なことで、その選択は当然尊重されるべきです。でも、イスラム教徒が他の国に行った時に、その国の人たちがイスラム・フォビアで、ヒジャブを嫌がるということが時々あるんです。

 

elabo編集部

特に9.11の同時多発テロ以降ということでしょうか?

 

Mさん

そうですね。欧米ではヒジャブをつけないように強制している国もあります。一方、イランでは、政府がヒジャブの着用を強制して、やりたくないことを無理やりやらせるということが行われています。いずれにせよ、強制してはいけないのです。それが問題です。

 

■外国からできることは何か?

 

elabo編集部

デモが始まってから1カ月以上経過しました。状況は非常に過酷に見えます。特にイランの若い女の子にとっては、とても不安なことだと思います。イランのために私たちができることは何でしょうか?

 

Mさん

ひとつは、イラン政府が自らの正当性を犠牲にしていることを確認する必要があります。他の人々や国が現在のイランを適切な政府として認めないようにしなければなりません。

 

さらに、イランで運動をしている人たちの声を増幅させることが重要な支援となります。イランではインターネット接続が非常に制限されており、人々は簡単に外部に発信することができません。ですから、「#MahsaAmini」や「#womenlifefreedom」といったシェアやハッシュタグがとても重要なんです。より多くの人にイランで起こっていることを知らせ、関心を持ってもらうことが重要です。このニュースを共有し、最新情報を得てほしいです。今、イランの都市部ではない周辺地域の人々は、声を上げることができず、苦しんでいます。これらの地域では、より残酷なことが起きており、多くの人々がそこで死に、逮捕されています。だからこそ、どんなニュースも黙殺されることなく、すべての情報が聞こえるようにする必要があるのです。

 

■たとえ政権を変えられなかったとしても、人々の意識は大きく変わった

 

elabo編集部

私たちも心から、革命の成功を願っています。しかし、同時に、ハッピーエンドがどのようなものなのか想像もつかないんですね。この革命運動にはリーダーがいないということで、それはとても感動的なことではあるのですが、この先どうなるのか不透明であることの要因でもあると思いますがいかがでしょう?

 

Mさん

私たちには変えたいものがあるんです。それはまず女性に対するルールです。でも、もっともっと変えたいことがあって、私たちは世俗的な政府を望んでいます。国民は独裁的な最高指導者ではなく、選挙で選ばれる指導者を望んでいます。でも、確かに未来は私たちにとっても不確定な気がします。この先どうなるんでしょうね。ハッピーエンドはどういうことなんだろう?

 

でも、確かなことがひとつだけあるんです。たとえ今回、国民が政権交代に成功しなかったとしても、この運動は国民を変えました。これは本当に大きなことです。抗議運動が人々の日常生活になりました。また女性はヒジャブなしで外に出て日常生活を営んでいます。たとえ良い結果にならなくても、この変化は永続的に人々に影響を与えると思います。

 

elabo編集部

長期的な視点に立った素晴らしい答えですね。私は、何百人もの人が亡くなる惨状になっても、Mさんが自分の国を諦めず、愛し続けていることに感動しています。

 

Mさん

それは国民への愛なんです。政府は関係ないんですよ。私は、いい政治家なんてこの世にいないと思うんです。政治は常に大きな組織で、自分たちの利益のためにニュースを隠蔽したり、ある種の真実を隠したりする可能性が高いですよね。

 

確かに最近、私は自分の国に誇りに感じています。人々が抗議している、女性も抗議しているし、何より若い学生が運動をリードしている。この様子を見て、以前よりさらにイラン人であることに誇りを感じるようになりました。

 

■生き残るためには、現状を変える必要がある

 

elabo編集部

ええ、おっしゃっていること、とてもよくわかります。今、イランの方々は非常に厳しい状況にあるけれども、私はある意味では羨ましいんですよ。私たち日本人は、そもそも団結する方法がなかなか見つからず、試行錯誤している段階だと思います。しかも、一般的に言って、日本人の多くは変化を恐れているような気もします。

 

Mさん

イランでも変化に踏み切るのには時間がかかったと思いますよ。1979年に革命が起こったとき、人々はそれ良いものだと信じていました。「この政府はダメだ」と多くの人が気づくまで、長い時間がかかったんです。政府はいつも、自分たちがやっていることを隠するために「アメリカが干渉してきたからこうなったんだ」と言ってきました。こうした詭弁によって、人々が問題を理解するのに時間がかかったんです。

 

実際、変化は、誰にとっても大変なことだと思います。多くの人がお金を稼いだり、家族のために食事を提供したりすることだけでも苦労しているから、政治的な問題から距離をとり、「ヒジャブなんてどうでもいい 」とか、「政府を変えるなんてどうでもいい」と言ってしまうんだと思います。変化には常に代償がつきもので、すべての人がそれを払いたがっているわけではないのかもしれません。けれど、今やイランでは、多くの人が、自分たちが生き残るためには、政府を変える必要があることに気づいているのです。

 

elabo編集部

生き残りたいのであれば、現状を変える必要がある。それは、日本人も共有すべき重要な認識だと思います。イランで何が起きているのか、その背景を語っていただき、本当にありがとうございました。Mさんのお話には、現状を変えなければならないと思っている人たちにとって、必要な教えが詰まっていると思います。私自身が最も感銘を受けたのは、Mさんが自分自身の状況と自国を説明するために、とてもパワフルな言葉を持っていることでした。

 

Mさん

今回はお話する機会をいただき、本当にありがとうございました。

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2022/11/04
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elabo編集部
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