苦しい状態から這い上がっていく生活そのものがヒップホップ──Sena(ダンサー・モデル)インタビュー
ダンスを通じて本当に大切な仲間も見つかりましたね。ダンスがなければ本当に何もなかった人生だし、ただただ、人を嫌いになっていただけのような気がします。ダンスの先生とか先輩たちが応援してくれるから、行けるところまで行ってみんなに見せたいなっていう思いで続けていますね。
#Z世代 #コミュニティ #価値観
identity
2021/11/06
インタビュイー |
Sena
(せな)

2002年生まれ。 父親がナイジェリア人、母親が日本人の日本生まれ日本育ち。主にHIPHOPダンスを得意とし、バックダンサーとしてメジャーアーティストのMVに多数出演。現在はダンサーとしての活躍に止まらず、若者世代に人気な大手アパレルブランドのモデル、自身でもダンスイベントを主催し、若干19歳にして大型イベントを成功に導くプロデューサーとしての一面も持つ。
Instagram: @beat_sena

眞鍋ヨセフ

今日は「elabo」のコンセプト・イメージとなっているグラビア撮影にご協力いただいたダンサーであり、モデルとしても活躍なさっているSenaさんにインタビューをさせていただきます。Z世代のためのメディアの顔になってくださっているSenaさんはどういう方なのかなと思っている方も多いと思うので、Senaさんがどのような背景を持っていらっしゃるのか、どのような活動をなさっているのか、また「elabo」のテーマでもあるカルチャーと政治などについてもお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。Senaさんはダンサーとして、また最近はモデルとしても活躍されていますが、ダンスを始めたきっかけは、どのようなものだったのでしょうか?

 

ダンスを始めたきっかけ

Sena

もともと6、7年ぐらいサッカーをやってたんです。ただ、サッカー自体は好きだったんですけど、その後、伸び悩んで、練習とかも余りしなくなったんですね。その時、親に「ダンスを始めたら」と言われて、もともと夏休みに1カ月習ったりしたことはあったので、サッカーを辞めて、その1年後ぐらいに本格的にダンスを始めました。なので、直接のきっかけは親の勧めですね。

 

眞鍋

きっぱり切り替えることはできたのでしょうか? ダンスにはバトルはありますけど、スポーツとはだいぶ違うと思うのですが、切り替えることができた理由はありますか?

 

Sena

まぁ、まったく違うものですよね。でも理由というとその場のノリなんじゃないですか? もともと、自分は人前に出るのがめっちゃ嫌いで、写真を撮られるのも嫌いだったんです。でも、ひとつ転機があるとしたら、英語を学習したことが大きいかもしれません。自分は日本生まれ日本育ちなので、英語が喋れないんです。それで、英検を受けるために英会話教室に行くことになって、そこで歌も歌える先生がいて、ゴスペルも教えていたんですよね。その先生にゴスペルのステージで踊ってくれないかと頼まれたのが、ダンスのひとつのきっかけかもしれないですね。

あとは結構テレビに影響を受けていたというのもあって、当時はEXILEが好きでした。その繋がりでナインティナインの岡村さんのオカザイルを見て、かっこいいなと思ってましたね。

 

眞鍋

ご家族でダンスをされていた人がいたのでしょうか?

 

Sena

父はアフリカ系のナイジェリア人で、サッカーも好きで、その影響でサッカーをしていました。母はもともとピアノをしていたんですけど、別にダンスは全然関係ないんです。家族構成でいうと、弟がいて、今ダンスをしていますね。

 

眞鍋

現在は東京で活動されている19歳のSenaさんですが、もともとは静岡ご出身ということです。静岡から上京されたのはいつだったのでしょうか? その当時の思いも聞かせていただけますか?

 

Sena

高校を卒業してすぐ上京しました。その当時はダンサーとして、勝負をしたいとか、これで食べていくという感じではなかったですね。もともとイベントを主催するのが好きで、今だから言えることで、高校生は本当はしてはいけないんですけど(笑)、当時からイベントの運営に携わったりもしていました。イベントの企画や運営は、やっていて楽しいなと思っていて、東京ではそうした関係の学校に行こうと思って上京したんです。ただ、学校には通ってみたんですけど、結局何か違うなと思って3カ月で辞めました。そこからは知り合いの人のつながりで、イベントの企画の仕事も少し貰えるようになりました。そして、もともとダンスができるから、ダンスで何か仕事ができないかなと思っていた際に、嵐さんのバックダンサーの依頼がきたんです。

 

眞鍋

すごいタイミングですね。

 

Sena

そうですね。ただ、別にそうなったからといってダンス一本で生活できるとかじゃないんですけど、その経験から「ダンスで仕事がしたい」と思うようになりました。それと、嵐さんのバックダンサーの仕事では普通に大きいステージに出るのが初めてだったので、「これは学校行ってる場合じゃねえよ」みたいな感じになって(笑)。そのタイミングで、学校はすぐに辞めて、そこから継続的にいろいろ仕事をいただいている感じなんです。

 

セナ氏(本人提供)

ダンスの世界はハーフである自分に大きな希望を与えてくれた

 

眞鍋

モデルのお仕事も同じタイミングで始めたのですか?

 

Sena

モデルはもともと全然やるつもりなんてなかったです。写真を撮られるのが嫌いだったので(笑)。静岡にいた時に友達がブランドを立ち上げて、そのブランドのモデルをちょっとしたことがあるんです。それがきっかけでカッコイイ写真を撮られるのはいいかもと思うようにはなりました。SNSにも載せることができますし(笑)。お仕事をいただけるようになったのは、ダンスの先輩のブランドがあって、そのモデルをやってから、ちょくちょくお仕事のお話をもらうようになりました。だから、ほんとうに周りの人に生かされているという感じですね。

 

繋がりでいうと、いろいろありますけど、ダンスの関係が多いですね。チームを組んでいた人たちも、大学のサークルに入ってるので、そのサークルの子たちとも遊んだりダンスもしたりします。最近では、モデルの友達とかフリースタイル・フットボール、あとはスケートボードや、ラッパーの子とも遊ぶって感じなので、結構人間関係の繋がりは幅広いかもしれないです。

 

眞鍋

ダンスをここまで続けてこれたのも、やはりコミュニティというか、ダンスを通して出会った繋がりが重要だったんでしょうか?

 

Sena

そうですね。少し重い話かもしれないんですが、自分は小学生・中学生の時は結構いじめられていたことが多かったんです。まあハーフの子は必ずぶつかる試練というか。サッカーをやめて、高校生の時に通うことになったダンススクールに、中学生の時に行ったんです。それまではめっちゃ自分の見た目とか、ハーフであるということが嫌いだったんですけど、そこのスクールで出会った先生だったり、先輩たちは、「めちゃめちゃかっこいい」みたいなことを言ってくれて、「俺たちもそうなりたい」って言ってくれたりして。最初はそれがわけがわからなすぎて、「何言ってんだ、こいつら」みたいな感じだったんですけど(笑)。ダンスを続けて、そのスタイルと雰囲気がマッチするようになってから、周りに認められ始めたと感じるようになりました。あと、ダンスを通じて本当に大切な仲間も見つかりましたね。ダンスがなければ本当に何もなかった人生だし、ただただ、人を嫌いになっていただけのような気がします。ダンスの先生とか先輩たちが応援してくれるから、やっぱやるしかないかなって思えるし、行けるところまで行ってみんなに見せたいなっていう思いで続けていますね。それと、何だろう、自分が東京で有名になって、風の噂で地元に名前が広まって自分をいじめていた人が知ってくれたら、まあおもろいっすよね(笑)。

 

Z世代の価値観

 

眞鍋

Senaさんは5月の「elabo」のローンチの際にグラビア撮影のモデルを引き受けてくださっています。モデルの仕事を引き受けてくださった理由やオファーを受けたときの心情を教えていただけますか?

 

Sena

単純な話なんですけど、マガジンに自分の写真が載ったことがなかったので、やってみたかったって思いがあります(笑)。個人的に一番「おっ」と思ったのは、Z世代、若い世代のためのマガジンであることで、自分もちょうどその頃、Z世代に興味を持っていました。何より自分も周りの友達もその世代の中だから、自分たちのためのマガジンなわけで、しかもモデルをやらせてもらえるんだったら、やってみたいってなりますよね(笑)。

 

眞鍋

そう言っていただけて、素直に嬉しいです。「Z世代」という言葉を耳にしたきっかけ、あるいは興味を持ったきっかけは具体的に何かあったりしますか?

 

Sena

耳にするようになったのは、SNSもそうですし、少し関係のない話になるんですが、今自分が関わっているイベントのなかにも、Z世代にフォーカスしたダンスとアーティストのイベントがあるんです。それは、知り合いの人と協力して主催しているもので。だから「Z世代」は自分に近いところでもすでに耳にしていた言葉でした。

 

眞鍋

そのZ世代にフォーカスしたイベントというのは、どういうイベントですか?

 

Sena

NEW AGEという、基本的にはダンスがメインのイベントになるんですが、自分を含めた若い世代のメンバーが振り付け、衣装とかをプロデュースして、ひとつの作品を作っていくというかたちを取っています。プロデュースをする人が複数いて、いくつかの作品でひとつのステージが作り上げられるという感じです。ダンスがメインではあるんですが、自分たちはさらに歌であったり、ラップを織り交ぜたり、若い世代に支持されてる同世代のアーティストを呼んで、バックダンスをしたりだとか、ひとつのジャンルにこだわらずに、シンプルに「面白いイベントやりますよ」っていう感じで企画しています。11月26日(金)にNEW AGE Vol. の公演があって、その後だと、NEW AGE Vol.4は12月20日(水)にZepp Hanedaでもやります。

  

眞鍋

すごくおもしろそうなイベントですね。同世代が企画プロデュースして、Zeppで公演をするなんて、刺激を受けます。Senaさんの周りでも、「Z世代」というワードを耳にしたり、同世代のなかで協力して、ひとつのものを作り上げようみたいな動きがあったんですね。

 

Sena

そうですね。全員が知っているというわけではないと思いますけど、今自分が関わっているイベントには同世代が多いですし、この世代はみんな何かを一緒に作り上げるのは好きなのかなって(笑)。

 

眞鍋

「elabo」のSNSに時々リアクションしてくださっていて、それが本当に励みになっているのですが、これまで「elabo」で配信された記事で興味があったり、面白かったものはありますか? Senaさんの最近の関心や問題意識と近かったりするものがあれば、お伺いしたいです。

 

写真 | 森岡忠哉

お金が一番大事じゃないという価値観

 

Sena

これまでの記事では、結構前の記事になるんですけど、「オリンピックまで46日──「全ては金の問題だ」ということはイケてない」(2021年6月7日)ですね。まず、見出しが、自分のなかで、「たしかにそうだよな」と思えるものでした。「イケてない」ってところがしっくりきたというか。お金の問題にするのは「よくない」じゃなくて「イケてない」という部分が印象的でした。本当に、何をするにも今の世の中ってお金が必要というか、自分の身の回りで考えても、イベントを主催するとかダンスをするのにもレッスンに通わないといけなかったりするじゃないですか? お金を意識しないで、やりたいことができたらいいなと思っています。

 

自分の身の回りでいうと、やっぱり、ヒップホップって「ヒップホップ・ドリーム」って言われるように、ラッパーだったら売れれば年収何億みたいな人が出たりするものなんですよね。でも、最初はだいたいみんなお金がなくて、貧しかったり、いじめられていたりした人もいますし、そういうところから這い上がってくること自体がヒップホップなのかなと思ってます。アーティストの話や歌を自分に重ね合わせたときに自分がしていることがヒップホップで、それがダンスとかだけに限定されるものじゃなくて、生活自体がヒップホップなのかなと思ったりもします。

 

だから、やっぱりスポーツでも、なんでもそうですけど、お金がなくても、自分がやりたいことをできるような社会が日本で実現できたらいいなと思っています。あの記事のなかでも疑問に付されていたのは、経済が結構すべてになっていて、儲かってしまえば結局何でもよくて、そこでアスリートだったり、人々の人権が軽く見られているみたいな状況だったと思います。でも結局のところ、一番大切なのはお金じゃないって、感覚としてはわかるじゃないですか。

 

眞鍋

Senaさん自身の過去や自分のライフスタイルであったり、ご自身が今関わっていらっしゃるイベントでも、重なる部分が多くあったという感じですか?

 

Sena

そうですね。イベントも正直、稼ぎに行こうって思えば稼げてしまうものだと思うんです。でも何か自分のなかではお金を稼ぐだけというのが嫌で、稼げるからイベントをやるよりは、ある程度自分がやりたいイベントで稼ぎたいという気持ちがあります。それができないんだったら、イベント自体わざわざやりたいとも思わないし、何かしら意味があることじゃないと自分のなかで納得がいかないですね。

 

眞鍋

今、Senaさんがおっしゃっていた感覚に共感できる人は多分たくさんいると思います。お金が無意味だったり、必要のないものだとは思えないけれども、その価値観に縛られている状態に対しては自分も違和感を感じます。経済的な指標で物事を図ることは悪いことではないけれども、それに振り回されるのではなく、本当の価値がお金じゃ測れないことは忘れないでいることの重要性が今、高まっているように思います。

コロナ禍でのカルチャーの危機

 

眞鍋

2020年から今年にかけて、コロナ禍をはじめ、今まで経験したことのないことがたくさんあったと思います。この2年間で、関心が高まったことや問題意識を持っていることを教えていただけますか?

 

Sena

自分の周りには、やっぱり大学生とか同世代の人間が多いんですよね。普通に仕事をしている人ならまだ大丈夫だけど、コロナ禍では、大学生や正規の仕事がなくバイトをしていたりする人が、本当にお金がなくて困っているという状態を見てきましたね。やっぱり、東京は暮らすのに、本当にお金がかかるんです。

 

そこで思ったのは、シンプルに「生活できないのってやばくないか」ということですね。国が若者のために動いてくれたらいいんですけど、もちろん給付金はありましたけど、会社で働いている人やお店を持っている人には、また別のかたちで支援があったじゃないですか?

 

放置されてたわけではないと思うんですけど、やはり今から社会に出るための準備期間にある若者を、もっと助けてくれないだろうかとは思いました。若者のために、もう少ししてくれないのかと。

セナ氏

 

貧しくなり、情熱が減っていることへの危機感

 

眞鍋

東京と僕の住む関西圏とでは、深刻さの度合いが違うのではないかと思います。コロナ禍の影響にしても、オリンピックひとつとっても、一番影響を受けたのは東京だと思いますし、なおかつそのなかでも比較的影響を受けやすいのはやはり若い世代だったり、雇用が不安定な人たちだろうと思います。Senaさんの関わっているダンスのコミュニティ、あるいはイベントの関係者には、どのような影響がありましたか?

 

Sena

情熱的なものが少なくなってきてるなとは思いますね。ちょっと抽象的な話で申し訳ないんですけど、本当にイベントとかライヴとかも、どんどんなくなっていっているんですよね。地元では発表会がなくなって、ダンスを習っている学生がモチベーションをなくしたりするようなこともありましたし、ほかにも自分が関わっているイベントもなくなっていきました。

 

眞鍋

コロナ禍のなかで、カルチャーの存在が軽視とまで言わないですけど、後回しにされたりする風潮はあったと思うんですが、それはSenaさんご自身も感じましたか?

 

Sena

そうですね。具体的に言うと、やはり実際にイベントが急遽いくつもなくなったことはすごく大きな出来事だったと思います。それは主催者側にとってもそうですし、出演するダンサーやアーティストにとっても同じですね。こうした業界の方々は、よっぽどの人でない限り、やはり単発で仕事をして、お金をもらっているんですよね。例えばあるライヴが中止になった場合、世の中的には「ライブが中止になった、残念」みたいな感想だと思うんですけど、もともと予定していた仕事がなくなるというのは、そのライヴに関わっている人にとってはサラリーマンの次の月の給料がまったく出ないということと同じなんですよね。大袈裟な話ではなくて、仕事もなくなって、支援もなくて、結果、目指してきた夢を諦めた人も周りに実際いました。

 

眞鍋

今の話とも関連することだと思うのですが、去る10月31日には、衆議院議員総選挙がありました。今のSenaさんが語ってくださったことも、カルチャーと政治が実際には深く関係しているという話だと思います。そこで、伺いたいのですが、今回の選挙でSenaさんが関心を持っていた政策や、これからの政治で期待していることは何でしょうか。

 

Sena

自分の周りでも、若い人たちが結構選挙に行ってましたし、SNSで「投票行った」みたいなのを載せてる子が多かったと思います。自分が一番、関心を持っていたのは、税金が上がるかどうかですね。さっきも話したように、コロナ禍は大学生や若者には本当に苦しい状況だったんです。自分も今、事務所に入っているわけじゃないですし、フリーで活動している人たちはたぶんこのままだとどんどん苦しくなると思います。仕事がない状態が続いてしまうと、今の税金のままでは生活はキツいと思います。ほかにも関心のあることはありますけど、それにはいろんな人の目線や価値観があるので、自分にとっては税金が一番大きい関心だと思います。

 

眞鍋

アーティストとかイベントプランナーさんのなかでも、インディペンデントで活動されている人にとっては、今までの状況に戻れる保証もないうえに、税金が上がってしまうと、それは死活問題になりますよね。Senaさんの周りでも、「選挙行った」みたいな話を耳にする機会は多かったとのことですが、政治が自分たちにすごく影響があることに気づいて、政治を身近なものとして捉えている人が多くなったと思われますか?

 

Sena

そういう感じだと思います。自分の周りはそうでした。

 

上京したことで変わった価値観と今後の目標

 

眞鍋

Senaさんのが上京をしたことで感じた地元との違いだったり、自分のなかで価値観が変わったことはありますか? コロナ禍で感じた同世代の苦しい状況だったり、政治への関心というのは、上京したからこそ感じるものだったのでしょうか?

 

Sena

そうですね。自分は本当に上京したことから大きな影響を受けたと思います。例えば、イベントを例に挙げると、やっぱ東京のほうがボツになることって多いんですよね。それは、地元のイベント自体の価値が低いって言う言い方は適切ではないかもしれないんですけど、同じようなものが実際ゴロゴロあるからなんです。なので、地元では応援してくれたり、成功したりするものが、東京ではできなかったりするんです。その厳しさというのは感じましたね。やはり東京は誰に対しても厳しい街なので、現に「お金がすべて」という人もいるし、「人脈がすべて」という人もいますよね。はたまた、友達や仲間が大切だという人もいます。自分が何を大切に思っているかによって、人生も変わるし、自分のやりたいことがうまく行くか行かないかが左右されることをめっちゃ思い知らされました。

 

同時に、上京して一番刺激を受けたのは、夢を持ってる人たちが集まってくるという点ですね。熱気というか思いが全然違いましたね。だからこそ、コロナ禍で夢を諦めている人がいるというのも、重さが違うというか、思うところはありました。

 

眞鍋

最後にSenaさんの今後の目標であったり、活動の計画を教えていただいてもいいでしょうか?

 

Sena

先が見えない状況なので、何か具体的に「これをします」だったり、「このようになります」みたいなことはあまり言えないんですけど、逆に目標を作っておいたほうが未来も明るくなるかなと思っています。今、自分の目標を考えると、音楽の仕事もできるようになりたいなと思ってます。それが、自分が歌うことなのか、ビートを作るのか、DJをすることなのかはわからないですけど。最近は知り合いのミュージックビデオのちょっとしたプロデュースやキャスティングもさせてもらう機会も増えて、周りの環境が変わってきてるんです。その影響もあって、音楽もいいなとは思ってるんです。でも、ダンスとかモデルも楽しいし、続けたいですし、基本的には全部やりたいんです(笑)。まだ19歳だし、やりたいことを全部やってみてもいいのかなと思ってます。

 

眞鍋

マルチタレントみたいな言葉だと、すごく安く聞こえますけど、自分が作った曲で踊れて、歌える存在ってなかなかいないですよね。

 

Sena

そうですね(笑)。まだ、模索中というか、全然わからないですけど、来た仕事は全部できるようになれたらいいと思っています。自分が自分らしさを出せる表現方法を探していきたいと思っていますし、ざっくりしてますけど、自分の名前を広めたいなと思ってます。

 

眞鍋

周りを見渡すと、「お金儲けがすべて」という価値観を持っている同世代の人も少なくないように思います。Senaさんは、有名になる、這い上がっていくといったヒップホップ的な成功を追い求めながらも、同時にお金がすべてではないという価値観を大事にしていらっしゃる。お話しを伺って、同世代としてだけではなく、ひとりの人間としても共感し、認識を新たにできました。今日は本当にありがとうございました。

 

 

[2021年11月1日、Zoomにて]

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2021/11/06
インタビュイー |
Sena
(せな)

2002年生まれ。 父親がナイジェリア人、母親が日本人の日本生まれ日本育ち。主にHIPHOPダンスを得意とし、バックダンサーとしてメジャーアーティストのMVに多数出演。現在はダンサーとしての活躍に止まらず、若者世代に人気な大手アパレルブランドのモデル、自身でもダンスイベントを主催し、若干19歳にして大型イベントを成功に導くプロデューサーとしての一面も持つ。
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聞き手 |
眞鍋ヨセフ

24歳。elabo youth編集長、Kendrick Lamarを敬愛するHiphopオタク。映画、アート鑑賞、読書が趣味。

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